『ファクトフルネス』を読んでとても面白い書籍だったので、学んだことの整理もかねて備忘録として書録を記載します。
ファクトフルネスに世界を捉えること
本書の中に書かれたことを自分なりに整理すると「事実に基づいて世界を見ることを阻害する人間の持つ10の本能」を コントロールすること だと思います。
コントロールとしたのは、ファクトフルネスを阻害する本能は、文字通り本能なので、全くなくすことはできません。しかし、何か本能を刺激する事象に触れた時に、出てこようとする本能をコントロールすることはできます。
本能が前に出てきたなと感じたら、一呼吸置いて、俯瞰して目の前の事象に対して客観的に事実に基づいて見ることを意識すること、それが無意識でできるようになることなのかなと本書を読んで感じました。
以下は「事実に基づいて世界を見ることを阻害する人間の持つ10の本能」とそれにどう対処するかについて、本書に記載されてる内容をまとめました。
分断本能
世界は分断されているという思い込み。
ex.
- 先進国/後進国
- 西欧諸国/それ以外
ファクトフルネスに考える
大半の人間がどこにいるのかを探す。
- 話の中の「分断」を表す言葉 に気づくこと。
- 多くの場合は、分断はなく、誰もいないと思われていた中間層に大半の人がいる。
- 大半の人がどこにいるのか? を探すこと。
- 「平均の比較」 に注意する。
- 「極端な数字の比較」 に注意する。
- 上からの景色 であることに注意する。
- 上から観ると同じ「低い」でも下から見ると一段階違うと全く違う。
ネガティブ本能
「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み。
ファクトフルネスに考える
悪いニュースの方が広まりやすいと覚えておく。
- ネガティブなニュースに気づく。
- ネガティブなニュースは耳に入りやすい。
- 「悪い」と「良くなっている」は両立する。
- 良い出来事はニュースになりにくい。
- ゆっくりとした進捗はニュースになりにくい。
- 悪いニュースが増えても、悪い出来事が増えたとは限らない。
- 美化された過去に気をつける。
直線本能
「ひたすら〇〇し続ける」という思い込み。
ファクトフルネスに考える
直線もいつかは曲がることを覚えておく。
- 「グラフはまっすぐになるだろう(線形に進む)」という思い込みに気づくこと
- 線形に進み続ける方が珍しい
- 直線のグラフばかりを当てはめないようにする。
- S字、滑り台、コブ、倍増、いろんなグラフの形がある。
恐怖本能
危険でないことを「恐ろしいこと」と考えてしまう。
ファクトフルネスに考える
リスクを計算する。
- 恐ろしい物事には自然と目がいってしまうことに気づくこと。
- 恐怖と危険は異なる。
- 世界は恐ろしいと思う前に、現実を見ること。
- メディアや自分自身の関心フィルターのせいで世界は実際より恐ろしく見えてしまう。
- リスク = 危険度×頻度 ≒ 質×量
- 恐ろしさはリスクとは違う
- 行動する前に落ち着くこと。
過大視本能
目の前の数字が一番重要だという思い込み。
ファクトフルネスに考える
出てきた数字を比較する。
- ただ1つの数字が、とても重要であるかのように勘違いしてしまうことに気づくこと。
- 比較、割り算など他の指標を駆使して別の意味を見いだせる。
- 比較すること。
- 80:20ルールを使うこと。
- 割り算をすること。
- 量それ自体よりも大抵は「割合」の方が役に立つ。
パターン化本能
1つの例が全てに当てはまるだろうという思い込み。
ファクトフルネスに考える
分類を疑う。
- 1つの集団のパターンを根拠に物事が説明されていたら、それ自体に気づくこと。
- パターン化は間違いを産みやすい。
- パターン化本能をコントロールするには、分類を疑うこと。
- 同じ集団の中にある違いを探すこと。
- 違う集団の中の共通項を見つけること。
- ex.) 女性一人当たりの子供の持つ人数は地域が違えど関係する指標は所得である。
- 違う集団の間の違いも探そう。
- ex.) 意識のない兵士(成人)と眠っている赤ちゃんへの対応。
- 「過半数」に気をつけること。
- 強烈なイメージに注意すること。
- 自分以外アホだと決めつけないこと。
宿命本能
全てはあらかじめ決まっているという思い込み。
ファクトフルネスに考える
ゆっくりした変化でも、変化していることを心に留めておく。
- 色々な物事(ヒト、国、宗教、文化)が変わらなく見えるのは、日々の変化がゆっくり少しずつ起きているからだと気づくこと。
- 小さな進捗を追いかけること。
- 知識をアップデートすること
- おじいさんやおばあさんにも話を聞くこと。
- 文化が変わった例を集めること。
単純化本能
世界は1つの切り口で理解できる、という思い込み。
ファクトフルネスに考える
1つの知識が全てに応用することはできない。
- 1つの視点だけでは世界は理解できないことを知ること。
- なんでもトンカチで叩くのではなく、様々な道具の入った工具箱を準備した方が良い。
- 自分の考え方を検証すること。
- 知ったかぶりはやめること。
- やたらめったらトンカチを振り回すことをやること。
- 数字は大切だが、数字だけに頼らないこと。
- 単純なものの見方と、単純な答えには注意すること。
- シンプルであることと、簡単であることは違う。
犯人探し本能
誰かを責めればはものごとは解決する、という思い込み。
ファクトフルネスに考える
誰かを責めたところで、問題は解決しない。
- 誰かが見せしめとばかりに責められていたら、それに気づくこと。
- 誰かを責めると他の原因に目がいかなくなり、将来起こるであろう同じ間違いを防げなくなる。
- 犯人ではなく、原因を探すこと。
- ヒーローでなく、社会を機能させている仕組みに目を向けること。
焦り本能
今すぐ手を打たないと大変なことになる、という思い込み。
ファクトフルネスに考える
小さな一歩を重ねる。
- 「今すぐ決めないいけない」と感じたら、自分の焦りに気づくこと。
- そもそも、今(その時)決めないといけないことは滅多にない。
- 落ち着くこと
- 深呼吸、深呼吸。
- データにこだわること。
- 占い師に気をつけること。
- 過激な対策に注意すること。
まとめ
紹介されていた本能は自分も働いてることが今まで多々ありました。特に、
- 極端な2つの集合に分けるのではなく、レベル1~4の段階でそれぞれ集合があること。そして、中間があることを念頭に置くこと。
- ある1時点の数字や現実の結果だけに目を向けず、過去からの進捗をみること。
- 今時点で「悪い」ことと現在進行形で「良くなっている」は両立すること。
この3つはこの本を読んで「確かに!」と気付かされたことでした。どうしても、広告やテレビを始めたとしてマスメディアの持ち出すドラマティックなメッセージやストーリー性に引きづられてしまって、思考停止して事実を正確に捉えられないことがあります。
正直これ自体はこのエントリの冒頭でも記載した通り、本能なのでなくすことはできませんが、本能の活動を意識的にコントロールするための材料を手に入れることができたと思います。
身の回りに溢れている、極端な分断的表現、ドラマティックなストーリーや単一の数字には注意深くなるきっかけを与えてくれるいい書籍でした。
『ファクトフルネス』ちょうど今読んでるけど、2019年始まってまだ3週間しか経ってないのに、すでに今年読むであろう本で5指に入るくらい面白い。「事実である」ことはあまりに少なく「事実であってほしい」ことばかりが身の回りに溢れてることを実感する。
— ema (@ema_hiro) January 19, 2019
予定の合間に読み切ったー!
— ema (@ema_hiro) January 19, 2019
読み応えのある本だった。事実(ファクト)を元に物事を見れなくなる本能については自分に当てはまるものも多かった。目に見える何かより、目には見えなくとも漸進的に改善してることに少しでも目を向けて行きたい。