AppEngine大好きっ子で1年近くAppEngineをPaaSに採用した環境で開発を行ってきた人間としてちょっと考えたことをつらつら書いてみます。
※1 このエントリは今日(2018/09/21)同僚の人と色々話してた内容をベースにしてます。
※2 あくまで個人の感想、というかAppEngine信者の戯言です。
サマリ
特に長いつもりもないですけど言いたいことは以下のようなことです。
- 最近のGCP界隈はKubernetes推し
- 爆速サービス開発はFirebaseで十分になってきた
- AppEngineがどんどんGKEとFirebaseの勢いに押されて目立たない
- AppEngine最高だからもっと使われてほしい
最近のGCPの流れ
GKE推し
昨日一昨日開かれてた Google Cloud Next Tokyo にも参加してきましたが、とにかくKubernetesが強いです。
7月にサンフランシスコで行われたGoogle Cloud Next からKubernetes推しの流れはいまだに止まらないなぁと。
国内でもGCP/Goで勢いのあるメルカリ社もGKEを採用してるし、その派生サービスでブラックホールのごとく人を集めてるメルペイもGKEを採用しているとのこと。(公式ブログ をウォッチしてる限りの情報)
あとはCAのやってるAbemaTVでもインフラにGKEを採用しているし、とにかくGKEの流れがすごいと思います。
Google Cloud Next Tokyo セッションもGKEのセッション数は20数個ある一方で、真っ当なAppEngineのセッションはその半分くらい。ここでまず勢いの差を感じます。
Firebaseが高機能になってきた
ユーザー認証、FireStore、CloudFunctions、FirebaseHostingなど機能が充実してきててもうこれさえあれば簡単にサービス開発できるようになってきているなと思います。
いつだったか、「これからの時代はFirebase使えるPaaSエンジニアの給料が〇〇百万円〜」みたいなツイートがバズってましたが、まぁそれもわかるなと思うくらい多機能で基本的な機能を備えたサービスであれば爆速で開発が可能になっています。
わざわざGKEやAppEngine選ばなくてもFirebaseさえあればサービスを作るには事足りそうな時代はもう来てるなという印象。
AppEngineについて
僕個人としは、やはりAppEngineはいいソリューションだと思っています。というのも
- フルマネージド
- (ランタイムにもよりますが)数十ms〜数百msでの高速なインスタンスの起動
- Auto Scaling
- 標準でデプロイパイプラインを装備(
gcloud app deply
) - 高機能なコンソール画面
というのは一般的にメリットとして挙げられますが、個人の経験談としては
- AppEngineのチームにjoinして一年以上productionに向けてsshコマンドを叩いていない
- とにかく細かいところを気にしなくていいので、アプリの開発に集中できる
というところがとても開発者体験として大きかったです。
ssh を叩かないだけで本当に心理的にはいい影響しかありません。
デメリットとして挙げられることもある outboundできない問題(urlfetchの制約)
ももうすぐ出ると言われてる gVisor 対応した AppEngine 2nd Generation によりなくなる(かもしれない) と言われてるので、AppEngineならではの制約からは少しずつですが解放されていくのではないかと思います。
(※ javaやnodeのランタイムではすでに gVisor対応してます。)
そういえば今日こんなコードを一緒に話してた同僚の方が見つけていて 「おお 👀 !!」 と思いました。
import ( "fmt" "log" "net/http" //これ!!! "os" )
AppEngineでは urlfetch
が必要になっていたのに app.yamlにある runtime: go111
のversionからは net/http
という標準パッケージを使っているので、サンプル実装ではありますが、これが本当になればAppEngineならではの制約で書いてたコードもその制約から外れますし、標準的なgoの実装に合わせることができるので、デメリットはなくなると思います。
伝統的なGoogle謹製のコンテナで歴史あるプロダクトですが、ここに来て少しずつ色んな制約が取り払われてる(gVisorとか)ので、あとはAppEngineを使った事例がもっとでてくればいいなと思います。
AppEngineは分類的にはサーバレス、ではないのかもしれませんが、サーバーを意識せずに開発できるという観点ではサーバレスだと思いますし、とても使いやすいサービスだと思っています。
メリットにも書いてますが、高速なspinupとデプロイパイプラインまで標準で装備されているので、書いたコードをすぐにデプロイして *.appspot.com で確認することが可能です。
Standard Environment でサポートされてるランタイムを使うのであれば、デプロイも高速に完了します。サービスを開発したいのに、CI/CD周り整備したりとか開発以外の運用や開発プロセス整備みたいな今まで手間だったものまるっと意識しなくてよくなります。
サポートされてるランタイムの上に乗っかる前提ですが、ここ数年来勢いのあった、Railsを使った高速開発〜!といった流れを変えうる(もしかしたらすでに変えている?!)プロダクトだと思います。
(Railsはいいんですけど、やはり大規模化した時本当にずっと使い続けるの?っていう疑問は思ってますし、ruby嫌いじゃないけど、型のある安心感からgoやjavaがやはり大規模開発には向いてる気がするんですよねぇ...コンパイラで怒ってくれる安心感?みたいなもの。)
そういった言語をサポートしていて、かつメリットに記載したような内容を享受できて、GKEほどエコシステムの学習コストは高くなく、実運用ベースでFirebaseに比べればまだ実績があって(多分?)、かつ高速にサービス開発できる可能性のあるAppEngine、もっと広がってもいいんじゃないかなーと思ってます。
まとめ
とりあえず僕はAppEngineを初めて使った時から感動しっぱなしで、これは本当に最高のツールだと思っています。GKEやFirebaseの流れに負けずに存在感を出してって欲しいと思います。