Overview
『スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ』を読んで、この本に書かれていた内容が自分自身の「今どうやって行きたいのか?」というキャリアの方向性を考えるいいきっかけになったのでその備忘録です。
読書メモ
頭に残ったところの抜粋。
スタッフエンジニアとは?
スタッフエンジニアの原型 (アーキタイプ)
スタッフエンジニアの仕事
- 技術的な方向性の設定
- メンター及びスポンサー
- チームのメンターやスポンサーになって彼らの進む道を応援すること。
- エンジニアリングの展望を伝える。
- 探索。
- 接着剤になる。
- 舞台裏でインパクトに富む仕事をする。
重要なことに力を注ぐ
どんな仕事に注力するべきか?
- 会社が直面してるリスクを探る -> 重要な仕事をする最初のステップ。
- 将来の成功と今の生存のバランスを取り続ける。
キャリアの方向性について
書籍としてはもう少しトピックが多くありましたが、自分は「自分がこれからどうなっていきたいのか?」ということを考えながらこの本を読んでいました。
結論、自分はスタッフプラスを目指そう、というところに行き着いてるわけではありませんが、「インパクトのある仕事を探っていこう」とは考えるようになりました。
特に本書の半分以上を占める邦訳版に載っている各社のスタッフプラスのエンジニアのコラムも読み進める中でいくつか「こういうことをするか」みたいなところがまとまってきたのでまとめてみます。
スナッキングを避けること
今の自分にとって耳の痛い話だなと思いました。
一定現職の歴も長くなってきて、ある程度全社的にインパクトの大きな仕事をこなしてきたとも思っている一方で、ここ最近どうしても「細かいところ」が目についてしまう自分がいました。
自分の性分なのかもしれませんし、若干悪いところでもあるんですが、目につくと気になって手を出しちゃう癖があって、これがまるっきり本書で述べられている「スナッキング」に近しいことでした。
あと、これに関連して些細なことであっても「問題と捉えてしまう」という頭の使い方も、完全に「スナッキング」だなと思いました。
もちろん過去それで解決してきたこともありますが、一方で「それって今解決するべきことなのか?」、さらにいうと「自分が取り組むべきイシューなのか?」は頭の片隅において物事を見ないと、結局インパクトの薄い、アウトカムの薄い仕事にばかり認知が奪われ、本当に価値ある仕事、というものをすする時間が相対的にどんどん減っていくので、考えるというのは容易いですが、「これってスナッキングじゃないか?」という観点は物事を捉えるときに持っておきたいなと思いました。
ただ、こればかり言ってると「全然仕事しない人」みたいに見られてしまうので、一介のエンジニアとしてこの観点を第一に置くことは出来ないなとは感じます...w。
インパクトのある仕事をすること
上述の「スナッキングを避けること」の正反対になります。
今自分が関わってることについてレバレッジポイントはどこになるのか?そういうものを探っていくプロセス自体に価値を感じるのでこの点は自分でももう少しエンジニアとして過ごすなかで言語化していきたいなと思います。
肩書の重要性
多分この書籍で自分にとってのインパクトの大きな部分だったかなと思います。
正直なところ自分は今まで「肩書」になんの価値があるのかわかっておらず、またこの業界にいると「肩書の陳腐さ」みたいなネガティブイメージを植え付けられてしまう機会(SNSの発言等々の情報の濁流の中で)がたくさんあるので、「肩書」や「役職」といったものに重きをおいてきたことはなかったのですが、本書の後編にある各企業のスタッフプラスのエンジニアのコラムに書いてあったのは 肩書の価値 についてでした。
ちょっと話はそれますが、自分の最近の感じてる課題感に 「経営との距離」 というものがあります。
これは自分が経営者になりたいとか経営に携わりたい、という気持ちから出てくるのものではありません。
事業に関わる仕事をしてると誰もが経験することとして「アウトカムがあるのか不透明」だと感じてしまう業務に巻き込まれる事があると思いますが、このとき現場の人間の一人ではその意思決定者に対して適切にフィードバックを送れない、もしくはフィードバックを送るまでのパスが長くてフィードバックが正確に届かないという事象が発生してしまいます。(ともすれば現場の社員が思い通りにならないことに対してネガティブな愚痴を言ってるだけ、と捉えられてしまう可能性だってあります)
もちろん、現場の1社員が知ることのできる情報量には限界があり、そもそも意思決定をしてるレイヤーと持ちうる情報量の格差があるので、圧倒的に意思決定する側の見解が正しいことだってあります(し、実際そういう可能性が高いことのほうがしばしばあるでしょう)
ただ、仮にそうだったとしてもこの「経営との距離」があると、「その見解を教えてくれ」という声さえなかなか届かないこともあります。別に経営としては全ての意思決定を公開する必要性もないので、そんな事はあり前だろう、と言われればそれまですが、結局のところ距離があると知りたいことも知れない、という事象が発生してそれがダイレクトに従業員として働いてるときのUXを損ないます。(サラリーマンなのでやれといわれたことはやるけど、やるならインパクトのあることをやっていきたいと思うのは自然なことです)
スタッフプラスのいくつかのコラムの中で述べられていた内容ですが、スタッフプラスになると会社の戦略という部分に対して関わる機会を得たり、戦略部分の会話に呼ばれたり、そもそも「周りの見る目」が変わるということがあるそうです。これはなんとなく理解できる感覚でもあります。
結局のところ「CxO」みたいなわかりやすい肩書がある方が周囲も「そういう人だ」と思ってみてくれるので、肩書は情報を手に入れたり、手に入れた情報をもとにフィードバックを送る際のショートカットとして機能する側面は否定できないものなんだなと感じました。
それがほしいから肩書を取りに行くのは若干歪んだモチベーションにも感じますし、何より「やるべきことをやっていった先に職責を広げる、もしくは職位を上げる機会が訪れるものである」ということは一定理解しつつも、「肩書」というものが持つパワーについて理解し直すいい機会になりました。
結局のところ
上記にも書きましたが、スタッフプラスになりたいのか?に関しては自分自身はまだ「?」な部分が多いですが、キャリアの方向性としては全然ありえる路線だなと感じました。
一方でやはり中期的にはもう少し自分自身や自分の関わる仕事のレバレッジポイントはどこにあるのか?と探索する日々は続きそうな気がします。
今年は育児も例年ほど本を読めてませんがこの本を読む機会があったのは良かったです。